みなさんは、リュウゼツラン(竜舌蘭)という植物をご存知でしょうか。
リュウゼツランは、メキシコを中心に中~南アメリカに自生している多肉植物です。
その大きな葉は、厚く鋭いトゲがあるため、竜の舌に例えられてきました。そのため『竜舌蘭』という和名がついています。
日本でも2022年の夏の時期に、各地で開花したという情報がインターネット上で多く飛び交いました。
花を咲かせることがめったにないこの植物が、この夏に多数花を咲かせたという事で、
テレビのニュース番組でも報道されたほどです。
そこで今回は、リュウゼツラン(竜舌蘭)は、いつ開花してどんな花が咲くのでしょうか?
という事について調べてみました。
リュウゼツランの別名の由来
リュウゼツランは、成長速度が非常に遅い植物として有名です。
開花するまでには、10年から数十年の年月が必要です。
そのため、過去には「100年に一度の花」と呼ばれ、「Century plant」との別名がつきました。
開花するまで、年月がかかります
ところで、リュウゼツランといえば、テキーラの原料としても有名な植物です。
テキーラの原料には、リュウゼツランの一種であるブルーアガベの子株が使用されます。
「イエフロ」と呼ばれる子株たちは、メキシコの熱い太陽のパワーを浴びながら、
ゆっくりゆっくり大きくなります。
こうして、6~10年の時をかけてブルーアガベの葉は、非常に硬くて長い葉に成長していきます。
そして、その葉をすべてそぎ落とすと、パイナップルのような球茎の「ピニャ」が現れます。
長い年月をかけて糖分を蓄えたこのピニャこそが、
奥深い味わいのテキーラを生み出すのです。
メキシコには、「嬉しいときもテキーラ、悲しいときもテキーラ」という言葉があるそうです。
テキーラを片手に、そっと目を閉じたとき、
メキシコの大地で悠々と生きるリュウゼツランが、ゆっくりと語りかけてきてくれそうですね。
いよいよ!開花のとき
リュウゼツランは、開花の時期が近づいてくると、ある特徴的な成長を見せます。
ロゼット状(八重咲きのバラの花びらのような並び方)に広がる葉の間から、
太い花茎を真っすぐに天高く、ぐんぐんと伸ばしていきます。
そして、長い期間をかけて葉に栄養分を蓄えていたリュウゼツランは、
開花の時期になると葉から茎へと栄養分を移動させます。
そして下の葉が枯れるのと同じ時期に、花茎が急成長を始めるのです。
「1日に約10センチ」というスピードで成長を続け、その長さは約7~8mにまで及びます。
花茎が成長し始めてから2ヶ月ほどで開花が始まり、リュウゼツランは花茎の先端に小さな淡い黄色の花を咲かせます。
その数は数千ともいわれ、上空で咲くリュウゼツランの花は、まるで手のひらを天に向かって伸ばしているような形状をしています。
リュウゼツランの花の蜜は、夜の間に特に多く分泌されます。
原産地であるメキシコでは、その甘い香りに誘われて飛んできたコウモリなどが、花粉を媒介することによって結実します。
ちなみに、リュウゼツランの花が咲く時期は、7月から8月とされています。
しかし、毎年この時期に咲くと決まっているというわけではないようです。
開花期間とその後
リュウゼツランは、堂々と花茎を直立させて1ヶ月ほどの間、花を咲かせます。
そして、その後はその姿のまま、まるで石化したように枯れてしまいます。
リュウゼツランの一生とは
リュウゼツランが花を咲かせるのは、その生涯で1度きりです。
数十年のときをかけて、花を咲かせ、リュウゼツランはそのまま一生を終えます。
でも・・・。それは終焉のようで、実は序章に過ぎません。
なぜなら、花を咲かせ終えたリュウゼツランの根元には、新しい子株たちが生まれているのです。
リュウゼツランは、花を咲かせるまでの忍耐、花を咲かせたときの神々しさ、そして、この世に贈り物を残して静かに現世に別れを告げます。
2022年の夏は、日本各地で開花情報が流れました。
日本でも意外と多くの人が、個人的だったり、施設の庭だったりに植えているという事を知りました。
中には、テレビのニュース番組を見て、初めてその存在を知ったという人もいるかもしれません。
生涯で1度しか花を咲かせない、リュウゼツラン(竜舌蘭)の花が日本でも一時的に注目の的になりました。
私も一度、この花を生で見たいものです。