福島第一原発という名前でまず最初に思い出すのは、
2011年3月に起きた『東日本大震災』ではないでしょうか?
私自身が福島県で生まれ育ったということもあって、
かなりショッキングな出来事であったことを記憶しています。
石巻市、女川町、陸前高田と震災直後ではありませんが、
実家へ帰省した際に訪問してみて、当時1年以上経過していたにも関わらす、
あまり復興が進んでいない状況にショックを受けたのも覚えています。
津波による被害も想像を絶する大きさでしたが、
福島第一原発事故も同様に想像を絶する被害であり、福島県の双葉・相馬地区は、
放射能汚染でその土地から避難しなくてはいけないという事態になってしまっていました。
10年以上経過した最近になってから、徐々に住めるようになってきてはいるようですが・・・・
元のような状態になることは無いと思います。
その原発事故があった福島第一原発での処理水をどうするか?という今新たな問題が話題となっています。
その処理水を海洋放出する!という事を国が発表したわけですが、国内外に様々な反応が出ています。
今回は、『福島第一原発の処理水排出の安全性は?リスク等を国内外の反応から考えてみます』
という記事を書いていこうと思います。
福島第一原発処理水排出の背景と現状
福島第一原発事故により、放射性物質が含まれた処理水が蓄積され続けています。
処理水とは、原子炉内で使用された冷却水や地下水、雨水などが混ざり合ったものであり、
放射性物質を含んでいるので、その処理には高度な技術が必要とされています。
福島第一原発処理水の蓄積量と処理方法
現在、処理水は専用のタンクに保管されていますが、その蓄積量は1,200トンを超えてきています。
当然ながら処理水の保管には限界があるので、新たに保管するためのタンクを建設する事が必要とされています。
しかし、限られた敷地内に新たなタンクを建設することは難しいという事になり、
処理水を海洋への排出する事が検討され続けて来ました。
処理水排出の必要性と理由
処理水を海洋へ排出するには、放射性物質を取り除く必要があります。
現在、処理水に含まれる放射性物質のうち、
放射性セシウムやストロンチウムなどの技術的に除去する事が可能なものは、イオン交換樹脂による除去が行われています。
放射性物質の大部分を処理した水は『ALPS処理水』と呼ばれています。
一方、トリチウムについては、現在の技術では完全に除去することがでないので、ALPS処理水の中に残っています。
このトリチウムに関しては、日本だけでなく海外でもその国々で基準を定めて、海洋や大気に排出されています。
なので、日本だけが排出しているわけでは無いのです。
処理水の海洋への排出には、地元漁業者や周辺住民からの反発が予想されます。
しかし、処理水を保管しておくには物理的に限界がきており、しかも新たな保管タンクの建設には敷地面積的にこれ以上は厳しい。
その為、海洋への排出が避けられない状況にあるのが現状です。
政府や東京電力は、周辺住民や漁業者との十分な説明や協議を行い、
安全性を確保した上で、処理水の海洋への排出を進める必要があるでしょう。
処理水排出に伴う安全性の検証
処理水の放射性物質濃度は、定期的に測定されて日常的に管理されています。
また、処理水排出による海洋環境への影響や健康への影響も同時に管理されています。
処理水の放射性物質濃度の測定と評価
福島第一原子力発電所事故のため、その処理水には放射性物質が含まれています。
そのため、処理水の放射性物質濃度の測定と評価が日常的に行われています。
処理水の放射性物質濃度の測定は、放射線測定器を用いて、放射性核種の種類や濃度を測定する方法が一般的です。
また、処理水中の放射性物質の分析には、高感度な分析技術が必要なため、専門的な機器や技術が必要となっています。
処理水の放射性物質濃度については、国際放射線防護委員会(ICRP)が定めた放射線防護指針に基づいて、
被ばく線量の管理が行われています。
また、処理水の放射性物質濃度が規制値を超えた場合には、さらに適切な対策を講じる必要があります。
処理水排出による海洋環境への影響
処理水の放射性物質濃度が低い場合には、海洋環境への影響は限定的であるとされています。
しかし、処理水の放射性物質濃度が高い場合には、海洋環境への影響が懸念されます。
処理水排出による海洋環境への影響には、海洋環境のモニタリングが行われます。
海洋環境のモニタリングには、海水や海底堆積物の放射性物質濃度の測定や、
海洋生物の放射性物質濃度の測定が含まれています。
処理水排出による海洋環境への影響には、海洋生物の生態系への影響も含まれています。
海洋生物の種類や個体数の増減、食物連鎖などによる残量濃度も考慮されています。
処理水排出による健康への影響
処理水排出による健康への影響には、被爆線量によって放射線被ばくを受ける可能性が高いです。
被ばく線量に関しては、約3,000ミリシーベルトで「永久不妊」の症状が現れると言われており、
がんや白血病になる可能性が出てきます。
一般的に、大人よりも体の小さな子供が影響を受けやすいと言われていますが、
特に子供だから大きな影響を受けるということはありません。
一度に大量に被爆した場合には、血液障害(白血球の減少など)や消化管障害(嘔吐や下痢など)などの
急性放射線症になることがあります。
これらは、被爆後、数日~数週間で発症することが多いです。
一方、比較的少ない量の被ばくであったとしても、数年後に上記のような症状が発症することがあります。
処理水排出に伴うリスクと対策
処理水排出による社会的・経済的影響や、風評被害などのリスクへの対策が必要になってきます。
また、安全対策の検討も同時に進められる必要があります。
処理水排出による社会的・経済的な影響
処理水排出による社会的・経済的な影響は、環境保護や人々の健康を守るということが目的になります。
処理水排出より、水質汚染や生態系の変化、漁業や観光業などの産業への影響などが考えられます。
これらの影響を判断するためには、排出量や排出先、水質基準などの情報を収集して数値化する必要があります。
また、処理水排出による影響は地域によって異なると思われ、地域ごとにしっかりと分析して対応する必要があります。
例えば、海洋排出に関して、海流などで広がり具合が予め予測出来る為、海外機関の協力を得て、
モニタリングの強化と拡充をしていく必要性があります。
福島の復興と風評被害のリスク
福島第一原発の廃炉は、福島復興には必要不可欠な避けては通れないことです。
この処理水排出は、福島復興に向けての大きな第一歩です。
ですが、ここで大きな問題があります。
原発事故直後にも苦しめられた、『風評被害』に対する対応です。
実際に一部の近隣諸国から、福島の海産物の輸入に消極的なコメントも出て来ています。
こういったものに対する対策としては、具体的に数値化したデータを出す必要も出てきます。
今後行われる取り組みとして、発表されているものがありますので、
下記に記しておきます。
①科学的な根拠に基づくわかりやすい情報発信を行います。
②国際機関と協力し、モニタリングの拡充・強化をします。
③水産業をはじめ、風評被害を受け得る産業の販路拡大・開拓支援を行います。
④風評被害が発生した場合には、セーフティネットとしての賠償により対応します。
さらに現時点では想定できない風評被害に対しては、官民が協議をして継続的に追加対策をしていく事が、
確認されています。
安全対策
処理水排出による安全対策は、事故やトラブルを防止するための対策が目的です。
安全対策には、設備の点検や保守、設備の更新、排出先の選定などが挙げられます。
また、安全対策には、事故やトラブルなどのリスクを踏まえ、優先順位や必要な予算などを検討する必要がある。
また、安全対策は定期的に見直し、改善することが重要である。
処理水排出に関する国内外の反応と今後の展望(まとめ)
国内外の関係者からは、様々な意見が出されています。
処理水排出に関する今後の方針や対応策が検討されてますが、
福島第一原発事故からの教訓を踏まえて、今後の原子力発電所の安全対策について考える必要があるでしょう。
処理水排出に関する今後の方針と対応策
福島第一原発事故によって発生した処理水は、放射性物質を含むため、その処理には高度な技術が必要です。
現在、東京電力は、処理水を海洋放出することを検討しているが、
これに対して国内外から懸念の声が上がっているのも事実であります。
前にも記載しましたが、処理水の海洋放出には、海洋生物や漁業に与える影響が最も懸念されています。
また、周辺国からも反発も予想され、国際的な問題となる可能性も考えられます。
そのため、処理水の海洋放出については、慎重に議論を重ねて進めてほしいと思います。
一方で、処理水の貯蔵には限界があるも事実で、早急な対応が求められています。
処理水の海洋放出以外にも、地下注入や蒸発させる方法などが検討されていますが、
それぞれに課題があるため、総合的な判断が必要になってきます。
原子力発電所の安全対策について
福島第一原発事故からの教訓を踏まえて、今後の原子力発電所の安全対策についても考える必要があります。
具体的には、以下のような対策が求められています。
福島第一原発事故では、地震と津波によって冷却システムが破壊されて、原子炉が過熱したことが大きな要因です。
そのため、地震と津波に対しての対策が必要になってきます。
建物の耐震性の向上、高い防潮堤の建設、冷却システムの設置場所の見直しなどが考えられます。
さらに、原子力発電所の運営においては、人的ミスや機械的な故障などが起こる可能性があるため、
安全管理体制の強化も必要になってきます。
具体的には、従業員の教育・訓練の充実や、安全管理システムの改善などが求められてくるでしょう。
以上のような対策によって、原子力発電所の安全性を向上させることが可能ではあります。
しかし、原子力発電所は、その性質上、完全な安全性を保証することは出来ません。
なので、原子力発電に頼らなくても良い省エネの社会体制にするとか、新たなエネルギー資源の発掘、
新たなエネルギー源の開発や新しい技術に期待したいと思います。