リコールってどんな意味?自動車だけじゃなく政治家にも使われているよね?

テレビでニュースを見たり聞いたり、また新聞紙上でたまに見かける「リコール」という言葉。

政治における報道で耳にしたり、事故の報道で耳にしたりと、
なんとなく意味は分かるけど、ぼんやりとしたイメージの「リコール」という言葉。

では、その意味を知ってますか?と質問された時に、
自信を持って正しい意味を言える人はどれくらいいるでしょうか?

それくらい珍しい言葉では無いはすなのに、
自信を持ってその意味を言えない言葉もなかなか無いと思います。

そこで今回は「リコール」ってどんな意味?自動車だけじゃなく政治家にも使われているよね?
という事について、詳しく調べてみようと思います。

『リコール』のそもそもの意味は?

まずは、本来のリコールの意味について調べてみました。

  1. 解職請求
  2. 欠陥製品を、生産者が公表し、製品をいったん回収して無料で修理すること。
    【出典: Oxford Languages】

1の意味が政治の世界における「リコール」
2の意味が消費生活における「リコール」のようですね。

リコールの政治的意味

では、政治の世界において、リコールとはどういう定義なのでしょうか。

リコールとは、国または地方公共団体の公職にある者を、
任期満了前に国民または住民の意思によって罷免する制度です。

日本においては、
最高裁判所裁判官の国民審査、地方公共団体の長などの解職制度などがリコールにあたります。

最高裁判所裁判官国民審査

最高裁判所裁判官は、
任命後初めて行われる衆議院議員総選挙の際に有権者の投票により審査を受けます。

罷免を可とする票が有効票数の過半数に達した裁判官は、審査結果告示日から30日後に罷免されます。

最高裁判所裁判官国民審査は、日本国憲法第79条第2項及び第3項と最高裁判所裁判官国民審査法に基づいている制度です。

前述したとおり、最高裁判所長官は、任命後初めて行われる衆議院議員総選挙の際に国民の審査を受け、
その後は審査から10年を経過した後に行われる衆議院総選挙の際に再審査を受け、その後も同様とすると定められています(日本国憲法第79条第2項)

ちなみに、現在までに国民審査で罷免された裁判官はいません。

地方公共団体の長のリコール

都道府県知事、市町村の解職選挙権のあるもの(有権者)の3分の1以上の署名を集めると、
選挙管理委員会に解職請求できます。

①有権者総数が40万人を超えるときは、40万を超える数の6分の1と40万の3分の1を合計した数以上
②80万を超えるときは、80万を超える数の8分の1と40万の6分の1と40万の3分の1を合計した数以上
(地方自治法第 81 条第 1 項)

請求が有効であれば、請求から60日以内に住民投票が行われます。(地方自治法第81条第2項)

投票の告示は、都道府県知事については少なくとも投票日の30日前に、
市町村長については少なくとも投票日の20日前にしなければならないとされています。(地方自治法施行令第116条の2

解職投票において有効投票総数の過半数が賛成すれば、
その首長(都道府県知事、市町村長)は失職します。(地方自治法第83条)

地方公共団体の長のリコール 成立例

2010年12月5日、
鹿児島県阿久根市の竹原信一市長(51)のリコール(解職請求)の是非を問う住民投票が行われ、
即日開票の結果、賛成票が有効投票の過半数を占めリコールが成立、竹原市長は失職しました。

竹原氏は同年3月の定例議会途中から議会への出席を拒否し、
議会を招集しないまま専決処分で職員の賞与半減や議員報酬の日当制などを決定。

当時の鹿児島県知事の2度の是正勧告を無視する形で専決処分を続けました。

こうした市政運営に反発する市民らがリコールに動いたのでした。

地方公共団体の長のリコール 不成立例

2019年夏に行われた「あいちトリエンナーレ2019」での企画展「表現の不自由展・その後」の内容、
および公金支出に関して、大阪市の松井一郎市長や名古屋市の河村たかし市長らが異論や批判を唱えました。

さらに「高須クリニック」院長の高須克弥氏、政治評論家の竹田恒泰氏ら著名人が呼応したことにより、
大村秀章愛知県知事へのリコール運動が行われ、署名が集められました。

しかし、愛知県の選挙管理委員会に提出された署名の8割以上が無効とされました。

この無効署名の大多数が複数の同一人物の筆跡である可能性が高いとされたため、
愛知県選挙管理委員会が地方自治法違反(署名偽造)の疑いで、容疑者不詳のまま刑事告発を行うなど刑事事件に発展しました。

消費者を守るリコール

商品に何らかの欠陥、不具合、事故の発生などにより安全上の問題が生じる可能性がある製品、
消費者が保有する商品に対して、事業者がその回収や無償修理などを行うことです。

製品リコールの事例

2022年1017日、ピープル株式会社製造の自転車に対して、リコールが実施されました。

リコールの理由は、
自転車に子どもが後輪ギア付近に手を入れることができる構造で、
それにより重大事故が起こったためという事
です。

現在、ピープル株式会社は、保護パーツを無償配布する準備を進めています。

まとめ

一有権者としても、一消費者としても、ともすると黙してしまう私たち。

しかし「自分さえ我慢すればよい」は美徳ではありません。

なぜなら、不正や危険を知りながら行動を起こさないことは、
周囲の人を守ることを放棄しているのと同じことだからです。

ひとりひとりの「不正や危険製品は認めない」という意識は、
この世の中でより安心に暮らしやすく生活する知恵だといえるでしょう。

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