ポリオとは?アメリカで大流行しているようですが、どんな病気でどんな症状になるの?

2022年7月頃、
アメリカでポリオ』が流行しているというニュースをネット等で見た人もいるでしょう。

「ポリオ?何それ、また新しいウイルス?」
と思った人は多いかもしれません。

また、「ポリオ?懐かしい、母子手帳に書いてあったな」
そんなことを思う人もいるかもしれません。

現在、日本で『ポリオ』の発症例は1981年以降発生していません。
にもかかわらず、アメリカで流行しているのはなぜなのでしょうか。

そこで今回は、『ポリオとは?アメリカで大流行しているようですが、どんな病気でどんな症状になるの?』
という事について調べてみました。

ポリオとはどんな病気?

『ポリオ』の正式名称は「急性灰白髄炎(きゅうせいかいはくずいえん)」と言います。
脳の灰白質と脊髄に病巣があり、5歳以下の子どもがかかりやすいことから、
別名で「脊髄性小児まひ」「小児まひ」とも言われています。

ポリオの歴史は古く、古代エジプトの遺跡にポリオに罹患したと思われる人物が確認されているので、
少なくとも3000~4000年前には存在していた病気だと言われています。

日本では、縄文時代の貝塚からポリオの特徴をもった骨が出てきていますが、
医学的には、ポリオとは証明されていません。

ポリオは、ポリオウイルスに感染して発生する、ヒトにのみ感染する病気です。
ウイルスが口から入って腸で増殖します。

ヒトと同じ霊長類のサルでも発症が確認されたことがありますが、
ヒトと腸の仕組みが違って体内でウィルスが増殖しないので、ヒト以外の動植物からの感染はないと考えられています。

ヒトの場合でも、感染しても免疫ができて発症しない場合もあります。

しかし、発症すると発熱や頭痛・のどの痛み・吐き気・だるさ・手足の痛みなどが現れ、後遺症として手足にマヒが残ります。
最悪の場合、ポリオウイルスが延髄に達すると、呼吸マヒを起こして死に至ることもあります。

現在でも完治する治療法はなく、マヒが一生残る患者がいるのが実情です。

そうなると、ポリオは不治の病のようなイメージを持ってしまいますね。

そして、一度かかってしまったら二度と治らないのかが気になりますね。

現在、ポリオは予防接種法によりワクチン接種をすることで予防できます。
接種時期は2度あって、初回接種(3回)が生後3ヶ月から12ヶ月、追加接種(1回)が初回接種から12ヶ月から18ヶ月後です。

ポリオはワクチン接種で防げた

母子手帳には予防接種を受けた記録を残せます。

※画像は1991年生まれの人の母子手帳です

接種時期が近づくと、市町村から通知が届きます。

ポリオのワクチンには二種類ある

『ポリオ』のワクチンは、2種類あります。
それぞれ、開発者が異なります。

  • 生ポリオワクチン
    1960年にできた生ポリオワクチンは、ポリオウイルスの毒性を弱めて作られています。
    そして、口からの接種が可能になっているので、乳幼児に接種しやすいワクチンです。
    しかし、ポリオウイルスそのものであることには変わりないので、まれに接種後ポリオと同じ症状がでることがあります。
  • 不活性化ワクチン
    不活性化ワクチンは、生ポリオワクチンよりも前に1954年に出来ました。
    死滅させたポリオウイルスから感染性のある成分を取り除いたもののようです。
    口からの接種ではなく、注射のみの接種なので、効率性では生ワクチンに劣りますが、接種してもポリオの症状が出ることはありません。

国内では2012年9月から生ポリオワクチンの使用は中止され、現在は不活性化ワクチンのみの接種となっています。

ワクチン接種の普及によって、日本では1980年以降は、
自然発生によるウィルス経由のポリオ患者数は0になり、現在まで発生していません。

ポリオは日本でも流行するの?

日本では40年以上ポリオ患者0をキープしていますが、アメリカでは2022年7月に一人感染し、
2022年9月現在、ニューヨーク州はポリオに関する非常事態宣言を出しました。

日本でもアメリカのようにポリオ患者が急に大量発生する可能性はあるのでしょうか。

アメリカのワクチン接種事情

アメリカは1979年にポリオ根絶を宣言しました。
そのため、ポリオワクチン未接種率が増え続けています。

ニューヨーク州の一部では、2歳児未満の接種率60%の地域があって、
日本の98%(2012年)と比べて、ポリオワクチンの接種率が非常に低いことがわかります。

また、アメリカでポリオが根絶しても、世界中を見ると、まだまだポリオがおさまったわけではありません。
ロンドンでは、下水からポリオウィルスが検出されましたし、中東地域でもポリオは依然として流行しています。

そういった国々より、アメリカに渡航してきた人から感染しても不思議ではないのです。

さらに、まだ生ワクチンを接種している地域もあります。
生ワクチンは、ポリオの症状を誘発する可能性を否定できません。

アメリカでのポリオ大量発生は、ワクチン接種率が低いこと、生ワクチンを使用している地域がまだあるという事から、
想定内だったと言ってもよいのではないでしょうか。

日本でポリオは流行するのか

それでは、アメリカと同じように、日本でもポリオが流行するのでしょうか。

「小児まひ」という別名があることから、小さいお子さんがいる方は気になりますよね。

日本の場合は、ポリオワクチンの接種率が高いこと、そのためポリオに対する免疫ができていること、
患者発生が0であることから、ポリオが新たに流行する可能性は低いでしょう。

ですが、現在ポリオが流行している地域から日本に入国した人がポリオに感染していた場合、
予防接種をしていない人には感染する可能性があります。

しかし、現在の日本は予防接種率が高いため、海外からポリオウイルスが持ち込まれても流行することはまず無いでしょう。

このまま、ポリオに対する意識を高く持ち続け、
乳幼児には定められた期間に予防接種をすることでポリオ患者0はキープできます。

乳幼児期にポリオワクチンを接種していない人も、
今からでも接種できるので医療機関を訪ねてみると良いでしょう。

油断はせずにできるかぎりの対策があれば日本でのポリオの流行はない

だからと言って、アメリカや中東でポリオが流行しているというのを、
ニュース等で見聞きすると、やはり気になりますよね。

前にも書きましたが、日本では1980年以降ポリオは発生していませんし、
予防接種率が高いので、すぐに流行するということはないでしょう。

だからといって油断は禁物です。

乳幼児がいるご家庭では、通知が届いたら指定期間内に予防接種を必ず受けるようにしましょう。
自分自身が子どもの頃にポリオワクチンを接種したかどうか不明な人は、今からでもワクチンを接種しましょう。

ポリオに対しては、ワクチンを接種して対策をすれば、さほど気にするウイルスではないでしょう。
コロナのように、日本で大流行することは無いと思います。

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